Vrayマテリアルの反射のボカシ具合の調整 – BRDF –

Vrayマテリアルの反射のボカシ具合の調整 – BRDF –

2022-07-09

マテリアルの反射のボカシ具合とは!?BRDFとは!?

いままで反射のボカシ具合=glossinessについては、
筆者もこの「Vray Mtlの使い方 -reflect / fresnel IOR編- part2」で解説してきました。
他にも関連した記事はいくつかありますが、
今回は、別の角度から反射のボカシ具合を調整する機能”BRDF”について解説します。
BRDFは簡単に言えば、反射のボカシ具合を調整できる機能のことです。
Vray Mtlの中にあるReflectに似た機能ですが、このReflectの具合を調整する機能がBRDFに該当します。
なので、Reflectとは切っても切れない関係にあります。

最近では、BRDFは死語になりつつあると筆者は思っています。
Vrayも数年前よりかなり進化していて、BRDFを調整しなくても
高品質なレンダリングが可能となっているので、
最近では設定することはほとんどなくなりました。
現に、Vrayの公式サイトでもBRDFについてはデフォルトが良いと記載がありました。
なので、BRDFの機能を知らなくても実際問題がないのですが、
この機能を知っていることで、思い通りのマテリアルの設定に近づくことは間違いないと思います。
筆者も頻繁とまではいきませんが、思い通りのマテリアル設定ができないときは、
このBRDFで調整することがあります。
この記事を読んでぜひともBRDFをマスターしてください。

BRDFについて

BRDFは言葉で説明すると「マテリアルの反射のボカシ具合を調整する」ことですが、
本当に”反射の具合”を調整する機能です。
ただし、数値等を設定する分けではなく、基本的に4つのモードがあり
それぞれのモードによって反射具合が変わる機能になります。

BRDFの4つのモードは下記になります。
・Microfacet GTR(GGX)
・Phong
・Blinn
・Ward


細かい説明を先にしてもわかりにくいので、
まとめは最後にして、まずはそれぞれのモードによって
レンダリングされたものはどのような反射のボカシ具合になるのか
それを見ていきましょう。

BRDFの4つのモード

これからBRDFの4つのモードでレンダリングしていきます。
マテリアルの設定はすべて同じ状態で、
BRDFがけが違いパターンでレンダリングしていきます。
ちなみに、マテリアルの設定は図-1の通りです。

図-1

ポイントとしては、reflectが白で、glossinessが0.8で設定しているところです。

Microfacet GTR(GGX)

まずはMicrofacet GTR(GGX)(以下、GGX)でレンダリングした結果を見てみましょう。(図-2)

図-2:BRDF=Microfacet GTR(GGX)

GGXの場合だと、上部のライトの映り込み(reflectとglossinessの影響)がしっかりと出ています。
ただ、glossinessが0.8なので、映り込みが若干ぼやけています。

Phong

次は、BRDFをPhongに変更してレンダリングしてみます。(図-3)

図-3:BRDF=Phong

Phongの場合は、実はGGXとほとんど変わりがありません。

Blinn

次にBDRFをBlinnに変更してレンダリングしてみます。(図-4)

図-4:BRDF=Blinn

PhongやGGXと比べて、ライトの映り込みが少しボケました。

Ward

最後にBRDFをWardでレンダリングしてみます。(図-5)

図-5:BRDF:Ward

PhongやGGXと比べて、ライトの映り込みがほとんどなくなりました。
ものすごくマットに近い質感に変化しました。
これらの結果を元にBRDFについて考察していきます。

BRDFの4つのモードでの画像比較

一枚づつだとわかりづらかったので、
それぞれを比較していきます。(図-6~図-9)

図-6(左:GGX、右:Phong)
図-7(左:GGX、右:Blinn)
図-8(左:GGX、右:Ward)
図-9(左:Blinn、右:Ward)

この図-6~図-9を比較して、もうお気づきかもしれません、
BRDFはglossinessの機能と同様の効果を発揮します。
簡単に言えば、BRDFの基本をGGXとして、
Phong>Blinn>Wardの順に、Glossinessの数値を下げていくのと同じ効果があります。


Vray公式としては、GGXで基本的にすべて賄えるそうなので、
実は設定はあまりしなくても問題ないそうです。
なぜなら、BRDFの設定をGGXのまま、glossinessを変更するだけでいいからです。

BRDFの使い方/用途

基本的にBRDFはデフォルトのGGXのままで良いと筆者は考えています。
ただし、glossinessを変更せずに簡単に反射具合を調整できるので、
たまに使用しています。
どのようなときに使用するかというと、Wardは布やマットな金属といったマテリアル
を作る際に使用します。

なぜなら、glossinessを大幅に下げなくても、
BRDFを変更するだけで簡単に近いマテリアルになるからです。
ちなみに、筆者はPhongとBlinnはほとんど使用しません。

もちろん場合によっていろいろ試したりはしますが、
正直そこまで重要な設定ではないと筆者は考えています。
ただし、このBRDFでもglossinessに近い設定になることを知っておかないと、
いくらWardの状態でglossinessを上げてもボヤっとした反射にしかなりません。
昔かなり使われていた機能とは言え、今も頻繁に使用しているのを見かけるので、
知識としては絶対に必要なことだと思います。

まとめ

今回はBRDFについて解説しました。
簡単すぎる内容で申し訳ないですが、
筆者としてわかってほしいことは、
「設定でBRDFというものがあるよ!!」ということです。

そして、以下が筆者の考え方です。
一つの方針にしてもらえたら幸いです。

・デフォルトのGGXの状態で基本的に問題ない。
・金属やマットな質感を簡単に表現したい場合にWardに変更したりする。


使い方に正解はありませんが、それでも
この記事がみなさんの一つの指標としてあれば幸いです。